
住宅ローン控除の適用条件と初年度の確定申告手続きの流れ
マイホームを購入する際に住宅金融支援機構や民間の金融機関などから借入をしてその資金に充てている場合、毎年の所得税額・住民税額から年末ローン残高の一定割合が控除される制度のことを住宅借入金等特別控除(通称、住宅ローン控除)といいます。

この制度が始まった当初は、新築住宅の取得が税額控除の要件となっていましたが、今では新築に加えて中古住宅や一定のリフォーム工事にまでその適用範囲が広がってきており、一戸建てやマンションを含め、ほぼ全ての住宅がこの制度の対象となっています。
さらに建物と共に、敷地についても住宅ローンを組んで購入した場合は、建物だけでなく土地に対するローン部分も住宅ローン控除の対象となります。土地だけを先行取得して2年以内にそこに住宅を新築するといった場合であっても、一定の要件を満たせば同じく適用可能です。
この制度の適用を受けるためには、次に掲げるいくつかの条件をクリアする必要があります。
新築・中古住宅・リフォーム、全てに共通する条件
- 住宅金融支援機構、銀行等各種金融機関、農業協同組合、公務員共済組合、勤務先(利率0.2%以上)などからの借入。建設業者や地方住宅供給公社等に対する債務であること。
- 親族や知人からの借入金ではないこと。
- 契約上、償還期間10年以上の借入金であること。または割賦期間10年以上の債務であること(繰上返済を行った結果、最初の償還月から最終の償還月までの期間が10年未満となった場合は住宅ローン控除の対象外となるため注意)
- 年間所得金額が3,000万円以下であること。
- 自身の居住用の住宅であること(賃貸用や別荘は対象外)
- 住宅を新築または購入した日から6ヶ月以内に入居し、その年の12月31日まで引き続き住んでいること(居住の有無は基本的に住民票で判断します。年末の引っ越しなどやむを得ない場合は水道光熱費の請求書等、居住の事実を確認できる書類を用意すること)
- 登記簿上の床面積の合計が50㎡以上であること(マンションの場合、対象となるのは専有部分のみです。共用部分は含まれません)。その床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること。
- 居住した年とその前後2年間(合計5年間)の間に、譲渡所得の特別控除等の特例(マイホームの売却による3,000万円の特別控除など)を受けていないこと。
中古住宅の場合の追加条件
以下の1~5のうち、いずれかの条件を満たすこと
- マンションなど耐火建築物の場合は築後25年以内であること。
- 木造など非耐火建築物の場合は築後20年以内であること。
- 一定の耐震基準に適合すると証明された建物であること。
- 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に加入していること。
- 要耐震改修住宅のうち、取得日までに耐震改修の申請を行い、入居日までにその工事が完了し一定の耐震基準に適合することが証明されたもの 。
生計を一にする親族等から取得したものではないこと。(取得後に生計を一にしなくなった場合は適用対象となります)
リフォーム(増改築等)の場合の追加条件
以下のいずれかの工事内容であること
- 増築、改築、建築基準法上の大規模な修繕や模様替え工事であること。
- マンション専有部分の床、階段または壁の半分を超える部分を対象とした一定の修繕・模様替え工事。
- 家屋(マンションの場合は専有部分)のうち居室やキッチン、浴室、トイレなどの一室について床または壁の全てを対象とした修繕・模様替え工事。
- 建築基準法上の構造強度等の規定または地震に対する安全基準を満たすための一定の修繕・模様替え工事
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
工事費用の金額が100万円を超えていること。また、その金額の2分の1以上が自己の居住用部分の工事費用となっていること。
ローン控除を受けるためには、その家屋を自己が所有している(持分を有している)必要があります。子供がローンを組んで、そのお金で親名義の住宅のリフォームを行ったとしても、住宅ローン控除は受けられませんのでご注意ください。
確定申告の方法
住宅ローン控除が適用されると、年末ローン残高の1%に相当する金額が毎年の所得税額から最長10年間控除(所得税額だけでは控除しきれない場合は住民税額からも控除)されることになります。さらに、消費税率10%で取得した住宅に2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合は控除期間が3年間延長されて合計13年間となります。
毎年の控除限度額
住宅の種類 | ローン残高限度額 | 控除限度額 |
一般住宅 | 4,000万円(2,000万円) | 40万円(20万円) |
認定長期優良住宅 | 5,000万円(3,000万円) | 50万円(30万円) |
認定低炭素住宅 | 5,000万円(3,000万円) | 50万円(30万円) |
契約書に記載されている消費税率が5%の場合や、中古住宅の個人間売買のようにそもそも消費税が課税されていない場合には( )内の数値となります。
申告期限
サラリーマンなど給与所得者の方が控除を受けるためには、初年度に限り以下に掲げる必要書類を用意した上で、入居した翌年の3月15日までに還付申告(確定申告)を行います。2年目以降については勤務先の年末調整で行ってもらえるため確定申告手続きは不要です。
もし、住宅ローン控除の申請を忘れてしまったとしても、5年前までなら遡って還付申告できます。
自営業の方も、初年度に限り以下の必要書類をすべて揃えた上で、2月16日から3月15日までの期間中に、毎年行っている事業所得等の申告と合わせて確定申告を行います。2年目以降は、毎年の確定申告書に住宅ローンの残高証明書と計算明細書を添付して提出していきます。
自営業の方が申告期限後に住宅ローン控除の記載漏れに気づいたような場合は、すでに申告書自体は提出してしまっているため、還付申告ではなく更正の請求という手続きを行います。請求できる期間は法定申告期限から5年間です。
必要書類一覧
- 住民票の写し
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(借入先の金融機関などから入手)
- 源泉徴収票(2か所以上から給与をもらっている人はその全て)
- 土地と建物の登記事項証明書(全部事項証明書。いわゆる登記簿謄本のことです)
- 土地の売買契約書のコピー
- 建物の売買契約書のコピー(または工事請負契約書のコピー)
- 増改築等工事証明書(リフォーム工事の場合に必要)
- マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証などの本人確認書類)
- 確定申告書(会社員の方は申告書A。自営業の方は申告書Bを選択)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
一定の中古住宅の場合
以上のほかに、築20年を超える木造住宅や築25年を超える中古マンションなどを取得した方は、耐震基準に適合する建物であることを証明するために下記に掲げるものの内、どれかひとつを追加で用意する必要があります。
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅性能評価書
- 既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書
認定長期優良住宅/認定低炭素住宅の場合
上記の認定住宅を新築またはリフォーム等により認定を受けた場合は、下記に掲げる書類の内、どれかひとつを添付する必要があります。
- 長期優良住宅建築等計画(低炭素建築物新築等計画)の認定通知書の写し
- 住宅用家屋証明書の写し
- 認定長期優良住宅(認定低炭素住宅)建築証明書
税理士報酬(税抜)
はなまる税理士事務所では、サラリーマンなど給与所得者の方々を対象に住宅ローン控除の還付申告手続きを下記の報酬額にて承っています。
自営業の方など、給与所得のほかにも申告すべき所得がある場合には、所得の種類と規模に応じて追加の報酬が発生する場合がありますので、お気軽にご相談ください。
項目 | 金額 |
住宅ローン控除の申告書作成と提出(名義人1人当たり) | 20,000円 |
オプションサービスとして、不動産登記簿謄本の代理取得も別途承ります。追加でお支払いいただく料金は3,000円です。
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